トンガラシ地蔵/とんがらし地蔵

トンガラシ地蔵堂
トンガラシ地蔵堂(旧)

欣浄寺みのり幼稚園の角地に小さな地蔵堂があります。

扉には赤い唐辛子が幾つか結びつけられていています。

いつもは手作りの赤い衣と帽子をかぶっている
いつもは手作りの赤い衣と帽子をかぶっている
本当の姿は細めです
本当の姿は細めです

地蔵堂内には、真っ赤な帽子をかぶり、赤い着物を着せられたお地蔵さまが祀られています。明和3年(1766)に祀られたお地蔵さまです。

地蔵堂脇の空地には宝暦五年・宝暦六年等と彫られた、三基の庚申塔も置かれています。

昔は囲炉裏の煙で目を病む人が多く、このお地蔵さまに、唐辛子を供えて願掛けをすると、眼を病んだ人を治してくれるという信仰があります。

秋になると地蔵堂の扉にたくさんの赤唐辛子が供えられ、真っ赤な目の人たちが願かけ参りに来ていたといいます。

眼にご利益があるお地蔵さまはヤンメ地蔵とも呼ばれることもありますが、土地の人はこのお地蔵さまを「トンガラシ地蔵」と呼んでいます。

地蔵堂の中をのぞき込むと、ドーナッツのように丸いまん中に穴が開いた石も祀られています。

多摩川などで、選んで拾ってきた石で、やはりお供えしてお願いすると眼の病が癒されるとのこと。形が「目」に似ているからだといいます。

穴が開いた石が供えられています
穴が開いた石が供えられています

このトンガラシ地蔵は「日本のお地蔵さま100選」にも選ばれています。

念仏講

トンガラシ地蔵がある北原地区の人たちは長く、念仏講を開いていました。

念仏講とは、信仰を持つ人々が集まって念仏を唱える会のことです。

毎年2回行われており、2月1日はテントウ念仏(お天道様があるうちは念仏を唱える)。10月23日には「おこもり」と呼ぶ夜更けまでの念仏講が行われていました。

お供物を持ち寄り行う講中では、四方山話に花を咲かせる場でもあります。

念仏講の飾り付け
念仏講の飾り付け

以前は当番の家までお地蔵さまを運こび、講中が行われていたとのことですが、近年ではトンガラシ地蔵に近い、「北原自治会館」で行われていました。しかし、同会館の敷地を平成24年3月31日をもって返還することになり、これにともない平成27年2月北原とんがらし地蔵尊念仏講は解散され、翌年2月地蔵の管理を欣浄寺に移譲しました。なお、平成24年10月には北原とんがらし地蔵堂が新築されています。

新しい住民も参加します
新しい住民も参加します

松本保著『とんがらし地蔵建立二百五十年記念 北原ととんがらし地蔵』

松本保著『とんがらし地蔵建立二百五十年記念 北原ととんがらし地蔵』

平成29年(2017)2月、日野市内の北原地区に残るとんがらし地蔵尊の講元、松本保さんによって『とんがらし地蔵建立二百五十年記念 北原ととんがらし地蔵』が刊行されました。

北原地区は現在の日野本町四丁目の欣浄寺付近で、地蔵尊堂は東南の角に建っています。昨年建立から250年を迎えたとんがらし地蔵尊の念仏講は残念ながら解散されましたが、欣浄寺によってこれまで通り手厚く祀られています。本書は地蔵尊の由来と念仏講、北原村のあゆみなど、詳細にまとめられています。地元の人によるこうした資料は実に貴重で、実に魅力的な内容です。

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