蚕糸試験場日野桑園第一蚕室(通称「桑ハウス」)
長年「桑ハウス」として市民から親しまれてきた建物が、貴重な文化遺産として保存を呼びかけてきた皆さんの願いがかない、平成29年(2017)に「旧農林省蚕糸試験場日野桑園第一蚕室」として日野市初の国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。
桑ハウスのある仲田の森蚕糸公園やスポーツ公園がある一帯は、かつて「農林省蚕糸試験場日野桑園」でした。蚕の餌である桑の苗木や蚕の研究が行われていました。昭和7(1932)年3月にできた桑ハウスこと第一蚕室では、優良な品種を生み出すための研究が行われていました。
その他の蚕糸試験場日野桑園の写真
しかし、明治から昭和と日本の産業を支えた養蚕業も、戦後の高度経済成長期を経て産業構造が大きく変わり衰退を余儀なくされ、当試験場も閉じられ昭和55(1980)年に現在の茨城県つくば市に移転となりました。
この跡地にできたのが仲田小学校や市民の森スポーツ公園です。そうした施設の整備の過程で建物の解体が進みましたが、唯一残された第一蚕室が平成29年(2017)に「旧農林省蚕糸試験場日野桑園第一蚕室」として、日野市初の国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。これを受け、令和元年~2年(2019~20)にかけて保存修理工事が行われ現在の姿となりました。
現在では文化財ウィークで施設内が公開されたり、ひのアートフェスティバルのなかで「桑ハウスアートギャラリー」の作品展示などに利用されています。
日本の近代化の歴史を知る貴重な「日野宿の宝物」としてこれからも大切に保存していきたいものです。
以下、「文化遺産オンライン」からの転載
旧農林省蚕糸試験場日野桑園第一蚕室 きゅうのうりんしょうさんししけんじょうひのそうえんだいいちさんしつ 建造物 / 昭和以降 / 関東 / 東京都 東京都 昭和前/1932 鉄筋コンクリート造及び木造2階建、鉄板葺、建築面積339㎡ 1棟 東京都日野市日野本町六丁目1-87他 登録年月日:20170628 日野市 登録有形文化財(建造物) |
農林省の蚕糸試験場日野桑園の建物の一つ。東西方向に長い桁行三七・三メートル、梁間九・一メートルの規模で、南北に廊下を配する。一階は鉄筋コンクリート造で東西両端を平屋とし、中央部に木造の二階を載せる。蚕糸試験場の中でも珍しい混構造の蚕室である。