日野宿の屋号看板
屋号とは江戸時代、身分制度で苗字をもたない商家や大きな農家などが、名前だけではわからないので店の特徴や場所などをいかして便宜的に付けた名前だといいます。
日野宿発見隊では平成21年(2009)から日野宿で受け継がれている屋号のなかから、了解を得られたお宅の屋号看板を新たなデザインで製作し日野宿内に展示しています。
また、日野駅や日野第一小学校や仲田小学校など開業、開校記念など特別な理由で独自の看板を製作したものもあります。
製作後、閉店や建て替えにともない、展示を終了したものもありますが、今も展示中のものをご覧いただき日野宿に残る屋号の存在と日野宿の趣を味わっていただければと思います。
index
「ギャラリー&カフェー大屋」(志村/木村家)
大屋(志村家の屋号)は荒物屋(酒も扱っていた)。建物はいわゆる見世蔵。
志村家は甲州の出身で、炭、生糸、油、砂糖を扱っていました。毎年麦わら屋根の修理に職人がやってくるとここに泊まったそうです。戦後しばらくして、この建物は他人に貸出され、佐伯米店、あずま屋、大沢米店と続きましたが、現在は木村夫妻により「ギャラリー&カフェ大屋」を営業されています。
平成21年(2009)9月
材:ケヤキ 書・彫・塗:木村邦生
「藤屋」(佐藤元雄家)
「藤屋」は佐藤元雄家の屋号です。日野宿本陣の名主上佐藤家からの分家で、母屋は下佐藤家、現本陣と同時期に建てられたとのことで、その母屋の西隣りに蔵もあります。
平成21年(2009)9月
材:ケヤキ 書デザイン・彫・塗:谷享司
「中村屋」(渡邉良勝家)
平成21年(2009)11月
材:ケヤキ 書:柴田仁志 彫・塗:谷享司
「日野駅」
平成22年(2010)1月
材:ケヤキ 書デザイン・彫・塗:谷享司
日野駅120周年という記念すべき年に日野宿発見隊として寄贈できたことは本当に光栄です。
「佐藤彦五郎新選組資料館」
平成22年(2010)4月
材:ケヤキ 書デザイン・彫・塗:谷享司
柱も穴を掘って建てたのですがなかなか苦労しました。
「金子屋(可祢古屋)」(安西清家:サニーハイツ80)
「金子屋」は安西清家の屋号です。屋号看板は新たに「可祢古屋」としてアレンジして製作しています。
平成22年(2010)5月
材:柿の木(安西家「金子屋」所有の柿の木) 書:須永征一 書デザイン:谷享司 彫・塗:石嶋日出男・谷享司
安西家にあった柿の木ですが、ケヤキとはまた違う彫り味でした。
なお、書を担当した須永さんはこの看板の完成をまたずに平成22年に急逝されてしまいました。
「要塞屋」(猪鼻輪業)
「要塞屋」は猪鼻洋助家の祖父が日清・日露の両戦争に従軍した経験から、一時「要塞屋」と呼称していたそうで、そこからこの名称で看板を製作したそうです。なお、猪鼻輪業は令和3年(2021)12月に営業を終了しています。
猪鼻輪業のあゆみ 昭和4年(1919)12月から令和3年(2021)12月
平成21年(2009)12月
材:桐の木 書:佐藤喜通 彫:猪鼻洋助
「釜屋」(三浦清司家屋号)
「釜屋」は三浦清司家の屋号です。
平成22年(2010)5月
材:ケヤキ 書デザイン:谷享司 彫・塗:石嶋日出男
*日野宿本陣東隣のセントラルコーポクロッカス入口付近に取り付けられています。
「青林堂」(真野家屋号)<菓子屋> 【建て替えのため展示終了】
「青林堂」は真野知恵子氏の屋号で、お菓子屋を営んでいたそうです。大門通りの入り口付近にありました。真野家(青林堂)はかつてお菓子屋、後に駄菓子屋を営んでいました。高幡不動尊にお参りに行く人は、青林堂でおまんじゅうを買ってから高幡まで歩いたといいます。(『私たちの町仲町』より)
真野家はご当主が亡くなられ今はアパートになっています。
平成21年(2009)12月
材:ケヤキ 書デザイン:谷享司 彫・塗:石嶋日出男
「魚萬」(天野魚店屋号) 【廃業のため展示終了】
「魚萬」は仲町の天野魚屋の屋号。「萬」はご当主の萬吉さんの名から取ったそうです。
平成22年(2010)3月
材:杉の木 書デザイン・焼き:木村邦生
*文字の部分を残し、ほかの部分を焼くという初めての試みでした。
なお、後日、天野魚店は店をたたまれてしまいました。
「鍛冶鉄」(小島秀夫家屋号) 【未展示】
平成22年(2010)3月
材:杉の木 書デザイン・焼き:木村邦生
「日野第一小学校」看板
日野第一中学校の建て替えに伴い、伐採された楠の木を再利用して、落合等氏製作のもと、日野第一小学校と仲田小学校の2校へ校名看板を贈呈しました。
平成22年(2010)2月
材:楠の木(日野一中にあった楠の木) 書・彫・塗:落合等
「鑰屋」(谷享司家屋号)
「鑰屋」は谷享司家の屋号です。享司さんのご尊父は谷春雄さんで建具師の傍ら日野宿の郷土研究に勤しまれ、特に日野宿における新選組研究の第一人者でした。現在は谷享司さんによりそば処「ちばい」を営業中です。
平成23年(2011)2月
材:針葉樹 書・全形デザイン・板整形:谷享司 彫・塗:石嶋日出男
「仲田小学校校名板」
平成23年(2011)3月
材:楠の木(日野一中にあった楠の木) 書・彫・塗:落合等
池田屋(谷克二家屋号)
ご自宅の伝統を守りたいとのご依頼を受け、平成26年(2014)3月17日(月)に完成した池田屋(谷克二家)の屋号看板。
その池田屋本家の建物も敷地の売却のため取り壊されてしまい、今は床屋さんになっています。